「指が変形してきた」「節が大きくなった気がする」「指が痛む」
女性が更年期を迎えると指先の関節に変形、腫れ、痛みなどの症状が現れることがあります。
一般の整形外科を受診してみると加齢性変化、特に治療法はないなどの診断を受け、鎮痛薬の対症療法となるケースが多く、そういった患者さんは「このまま放っておいたら指はどんどん変形していくんじゃないか?と不安を抱きます。
変形性指関節症の種類として代表的なものは以下の4つがあります。
へバーデン結節 |
指の第一関節に腫れ、痛みを感じる。 爪の付け根の水膨れや腫れが生じる。 初期症状は少しの変形から始まり、時間経過と共に指が横に曲がる側方異変や 屈曲した状態で固まる状態になる。 |
ブシャール結節 |
指の第二関節の軟骨が摩耗することで、関節の変形や屈曲、腫れや痛みが生じる。 ホルモンバランスの乱れや環境の変化、遺伝などが原因で生じることがあり、 更年期を迎えた女性に多くみられる。 |
拇指CM関節症 |
手首の拇指の付け根付近に痛みが出る。 使い過ぎや加齢に伴い関節軟骨の摩耗が起きやすい。 進行すると関節が腫れ、亜脱臼してきて拇指が変形する。 |
関節リウマチ |
自己免疫が主に手足の関節を侵し、関節痛、変形が生じる膠原病のひとつ。 |
指の変形性関節症の原因と考えられるのは主に次の通りです。
・加齢
・ホルモンによるもの
・遺伝的要素
・頻繁に手を使う
・軟骨の摩耗
加齢は発症リスクの中でも大きな要因として考えられます。実際に症状が発症した例は、40歳以降からが多くなっています。
また、頻繁に手を使う方も発症しやすいと考えられています。仕事や家事などで手指をよく使う方は、手指に多くの負担がかかっているためです。
特に更年期を迎えた女性は女性ホルモンが減少するため発症のリスクが高くなると言われています。女性ホルモン(エストロゲン)は関節軟骨などを保護したり、骨の新陳代謝のも関与するためです。ホルモンが減少すると骨がもろくなったり関節に炎症を起こし、腫れや変形に繋がります。
病院では患部の炎症を抑える消炎鎮痛薬による治療が行われます。
当院での治療は、投薬治療に加えて鍼灸治療、マッサージ治療が初期の治療として大切だと考えます。
マッサージ治療は、鎮痛消炎のクリームなどを使いながら患部の痛みを軽減する事と、手指へ負担を掛けている手首や腕の筋緊張を緩める事、そのほか肩や首など影響があると考えられる個所を全体的に治療していきます。
鍼灸治療は長期的に負担がかかり筋緊張がとれなくなっている個所へ刺激ができる事と共に、自律神経の乱れを整えることができます。
先ずは手指の腫れや痛みの緩和をし、手指関節だけでなく全身を診ていく事で手指の負担を軽減し、自律神経を整え加齢やホルモン減少の影響を受けた身体のバランスの改善を図ります。
また、適切な運動療法(リハビリ)やテーピング、装具の使用によっても痛みの軽減に繋がるため、日常動作、日常生活での注意点などのアドバイスをしていきます。
手指は目にしやすく変化には気が付きやすい部位です。しかし、症状はあっても日常生活は過ごせるため放置する傾向にあり、更なる負担を掛け続けて、指の変形が進行してしまうケースが少なくありません。